月別アーカイブ: 2009年3月

モーションコントローラーの応用分野 #1

モーションコントローラーの応用分野と、汎用位置決めとの違いについて

(第一回)

1・はじめに

近年、PLCの性能向上は目覚しく、その演算速度の向上により、スキャンタイムの短縮、応用命令の多様化、高級言語なみのプログラム言語のサポート(ストラクチャードテキストや、スクリプト)、上位・下位向けの通信機能の充実(イーサネットやデバイスネット、CC-LINKなど)、その他、浮動小数点変数、マクロ、ローカルデバイス、引数デバイス、プログラムの構造化のサポートなど、プログラマーが思い付きさえすれば、ほぼ何でも実現できる環境が整って来ています。

一方、PLCや、PLCに配置される位置決めユニットと用途は似ているものの、しかし、異なる物として、モーションコントローラーの存在がありますが、これらのモーションコントローラーは、PLCメーカーが、PLCCPUとは、別のCPUとして供給している物、PLCの高機能ユニットとして供給されている物、あるいは専業メーカーが、供給している物とさまざまで、PLCほどはっきりした商品カテゴリーとして、確立されている訳では無いように思われます。

よって、メーカーごとに、プログラミング環境や言語、機能、構成、構造、使い方が異なり、PLC以上に、比較選定するのに苦労している方が多いのではないでしょうか?

また、ACサーボモーターや、ステッピングモーターを利用して、位置決めしたり、単純な2軸の同期運転を行う程度ならば、位置決め制御でも十分な性能が得られることもあり、そもそも、「どのような場合に、モーションコントローラーを使用すべきか分からない?」とか、「違いが分からない?」と言う話をよく耳にします。

そこで、これから数回に分けて、モーションコントローラーの特徴的な利点、設計上注意するべきポイント、位置決めユニットとの使い分けなど、使用した経験を交えて紹介して行きたいと思います。

 

2・モーションコントローラーの利点と用途

それでは、位置決めユニットに対して、モーションコントローラーの利点には、どのようなものがあり、どのような用途に使用したら効果的なのでしょうか?

 

大きな特徴の一つでもある、同期制御機能を中心に考えてみましょう。

 

    多数の軸を制御したい。(1台のコントローラーあたりの制御軸数が、容易に多く取れる。)

    多軸の同期運転がしたい。(3軸を超えるような軸数の同期運転に対応可能。)

    ある軸の位置や角度に応じて、ON-OFFする信号を作りたい。(連携してエアシリンダーなどを動作させたい。または、動作のタイミングの精度を向上させたい。)

    同期動作中に、同期制御軸間の位相を変えたい。

    既に存在する装置と、同期をさせて装置を動作させたい。

    ある物の形に、多軸(2軸あるいは3軸以上)で同期させながら、ならうように装置を動かしたい。また、ならう対象を瞬時に変更したい。

    1回転の同期は保ちつつ、しかし、その1回転は、1回転中の決まった位相で加減速を入れたい。

    動作の度に、干渉の有無など、いちいちソフトで確認しなくても、確実に動作させたい。

    装置動作サイクルタイムはできるだけ速くしながらも、必要な動作はできるだけゆっくりしたい。

    ワークがコンベア上を移動した状態で、装置になにか作業を行わせたい。

 

上記のような用途において、モーションコントローラーでは、位置決めユニットより、はるかに簡単に精度が高く制御が可能です。

位置決めユニットでも、速度や精度上の問題がなければ、同じような用途に応用できる例はありますので、設計時によく検討して、どちらを使用すべきか?まず決めなければなりません。

 

 

それでは、次回からは、モーションコントローラーが、有利と思われる各事例について、考えて行きたいと思います。

 

 

  ご了承下さい。

ここに記載した内容は、その動作や性能を、弊社で保証するものではありません。

また、各メーカーの仕様変更、仕様追加について記載内容が十分追従できていない場合があります。

 

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