モーションコントローラーの応用分野#2

モーションコントローラーの応用分野と、汎用位置決めとの違いについて

(連載:第二回)

 

今回からは、モーションコントローラーの効果的な用途について、

より掘り下げて考えて行きたいを思います。

 

それでは、第一回目で取り上げた項目のうち今回は、

①、②の用途について考えましょう。

 

    多数の軸を制御したい。

(1台のコントローラーあたりの制御軸数が、容易に多く取れる。)

    多軸の同期運転がしたい。

(3軸を超えるような軸数の同期運転に、容易に対応可能。)

 

 

    ついては、現在市販されている、三菱電機やキーエンス製の位置決めユニットでは、

1台あたりの最大制御軸数は4軸です。

 

(注意)三菱電機製では一部に8軸仕様あります。

また、キーエンス製KV-ML16Vがありますが、

ここでは、モーションコントローラーとして扱うため、

位置決めユニットのカテゴリから除外します。

 

これらの位置決めユニットは、ある条件下で複数台使用可能ですので、PLCで扱える制御軸数は4軸のn倍ということになりますが、位置決めユニットが、何台使用可能か否かは、使用しているCPUの型式、その他のユニットの使用状況、電源、拡張ベースユニットの配置状況などで左右されますので、全体システムとして、使用可能ユニット数をまず確認する必要があります。

 

プログラムからこれらの軸を扱う場合、ユニット1の1軸、2軸、3軸、4軸、ユニット2の1軸・・・4軸と言うふうに管理ことになり、何度も重複する軸番号とバッファーアドレスや、システムデバイスアドレスを明確に区別しながら、プログラミングする必要があります。

 

 一方、モーションコントローラーの場合は、一般的にシステム内は1連の軸番号として扱われるので、1軸やX軸が何度も出てくることはありませんので、単純な重複に悩まされることはないでしょう。

 

三菱電機のモーションCPUQ172xxでは8軸まで、Q173xxでは、32軸まで制御可能ですが、モーションCPUをマスタースレーブ接続することで、これらのn倍でさらに拡張も可能です。

キーエンスのKVML16Vは、仮想軸を含む16軸まで制御可能です。

ユニットとしては、5台まで使用可能ですが、マスタースレーブ接続はできません。

 

モーションCPUの型式や、使用するモーションOS、制御モード、モーションユニットの型式で、扱える軸数数が変わるので、必要軸数は設計段階で確定しておく必要があります。

 また、制御軸数や制御モードで、モーション制御周期が変わる場合があるので、注意が必要です。

一般的には、制御軸数が多いほど、制御周期は長くなり同期性能には、厳しい方向になります。

このあたりも、装置として何軸必要で、同期性能はどの程度必要かを、よく検討しておく必要があります。

もし、精度を重視するのであれば、制御軸数を減らすなどして、対応する方法も検討します。

 

    軸あるいは、3軸を超えるような同期運転は、モーションコントローラーでないと同期性能が保証されませんので、3軸や4軸以上で同期が必要な装置の場合は、モーションコントローラーを選びます。

もともと、多軸の制御を目的にしたモーションコントローラーですので、ACサーボアンプとの制御信号の接続も高速な伝送(SSC NetMECHATROLINKなど)を利用したものがラインナップされているので、配線工数の削減になるほか、サーボアンプの設定も、コントローラー側からの一括管理になるなど、パラメータの設定・管理工数の削減にもなり便利です。

 

 

さて、次回は、モーター同士の同期ではなく、エアシリンダーやセンサーと同期を取る方法や、同期している軸間での位相変更の方法について、考えてみたいと思います。

 

 

 

 

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