モーションコントローラーの応用分野と、汎用位置決めとの違いについて(#4)

受注した装置の設計が、たて混んでいたため、ブログの更新が滞っていました。

さて今回は、

 

⑤既に存在する装置と、同期をさせて装置を動作させたい。

 

⑥ある物の形に、多軸(2軸あるいは3軸以上)で同期させながら、ならうように装置を動かしたい。

 

以上のような場合について、考えてみたいと思います。

 

 

⑤は、古いカムで動いている装置などに、同期して動作する機構を追加する場合です。

 

メカ的な方法として、カム軸に新たに、メカカムやリンク機構を追加する方法がありますが、メカ機構が入るスペースが無かったり、現地改造が困難であったりします。

 

電気的方法としては、普通はバリカムやカムポジショナーなどを、既存のカム軸に配置して、接点信号を利用する方法が一般的です。

しかし、この方法では、ON-OFFで操作するアクチュエータしか使用できず、カム軸に同期する形で、新規にモーターなどを回すことはできません。

 

 そこで、モーションコントローラーを、使用する方法があります。

既存のカム軸に、同期用のエンコーダーを取り付け、モーションコントローラーの外部同期エンコーダーとして接続します。

新規に追加するACサーボモーターは、このモーションコントローラーに接続します。

これで、既存のカム軸に同期した形で、ACサーボモーターを回すことが簡単にできます。

 

同様のことを、位置決めユニットで行うことは、大変難しいと思います。

 

 

 

⑥は、少ない軸数で、ワークにならうように動かす装置、たとえば、樹脂や接着剤の塗布装置などです。

 

位置決めユニットで行う場合は、多点の位置決めを連続動作で、ポイント指定して実行する方法などが考えられます。

この場合、軸間の同期は、補完で指定します。

複雑な形の場合は、位置決めポイント数は、100ポイントを超えるでしょう。

また、3軸を超えるような補完運転は、出来ない位置決めユニットがほとんどですので、4,5軸と同期が必要な場合は、位置決めユニットは使用できません。

 

一方、モーションコントローラーを使用する場合は、電子カムを使用する方法があります。

詳細な動きが必要な部分は、電子カムとして、座標を連続する変位データとして作成します。

これで、制御上の主軸に従属する形で、各軸が同期して動作するようになります。

この方法は、ポイントパラメータを、何ポイントも作成するよりも楽で、しかも、電子カムデータを、瞬時に入れ替えることができ、複数種類の複雑な動きへの対応もできるようになります。

また、実軸が、制御中に停止するような動作が必要な場合は、仮想軸を何軸が使用する必要があるので、十分検討して仮想軸が何軸必要か、事前に把握しておく必要があります。

 

電子カムは、上手に使うと非常に便利なものですが、使用上の制約があったりするので、そのあたりの事情も十分、把握しておく必要があります。

 

たとえば、三菱のモーションコントローラーは、電子カムを使用する場合は、絶対値エンコーダーが使用できません。

(仕様が変更されていなければですが)

 

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ここに記載した内容は、その動作や性能を、弊社で保証するものではありません。

また、各メーカーの仕様変更、仕様追加について記載内容が十分追従できていない場合があります。

 

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