モーションコントローラーの応用分野#3

モーションコントローラーの応用分野と、汎用位置決めとの違いについて

 

(第三回)

さて、今回は、モーターの角度や、位置と連携(同期)してエアシリンダーなどを駆動したり、同期して動作している最中に位相を変更する方法について、考えてみたいと思います。

③ ある軸の位置や角度に応じて、ON-OFFする信号を作りたい。(連携してエアシリンダーなどを動作させたい。または、動作のタイミングの精度を向上させたい。)

    動作中に、同期制御軸間の位相を変えたい。

 

 

 

③は、ACサーボモーターや、ステッピングモーターで駆動している部位に、さらにエアシリンダーなどを使用するために、同期したタイミングでソレノイドバルブのONOFFさせる必要が、自動機などではよくあります。

 

このような場合は、以前であれば、カム軸に近接センサーなどを取り付け、ドグの位置を調整して、ON-OFFする信号を作くる方法や、カムポジショナーやバリカムなどを配置して同期したON-OFF信号を作って利用していました。

 

位置決めユニットを利用した場合では、ラダープログラムより、現在値と比較しながら、ソフト的にON-OFF信号を作ることは出来ますが、スキャンタイムの影響で、高い同期性能を求められる場合には不向きです。

また、接点数が多い場合は、特に、大小比較するラダーが何行にもおよび、わかりにくくなります。

 

 モーションコントローラーでは、このような用途として、同期接点出力が用意されています。

この機能を使えば、軸に同期したON-OFF信号が、位置や、角度、パルス数単位で設定でき、意図としたタイミングで、簡単に利用することが出来ます。

但し、モーションの制御サイクルで(制御軸数の影響を受ける)、同期遅れの時間が変わりますし、出力ユニットの動作時間、ON-OFF駆動されるソレノイドバルブや、リレーの動作時間も加算されますので、必要な同期性能が得られるがどうか?設計段階で、十分検討する必要があります。

 

 

 

④は、位置決めユニットでは、実現することは難しくなります。

1軸、2軸を同期運転する例で考えると、1軸と2軸を同じ速度で、同じ量だけ移動させるとします。

位置決めユニットを使用する場合は、直線補完と言う方法で、1軸と2軸を同期させて運転することが可能です。

しかし、この直線補完運転して移動している最中に2軸だけ少々位相をずらしたいとしても、指令を出すすべはありません。

もし行うことができるとすれば、直線補完運転中の、2軸のみの目標位置変更をするしかありません。

(このようなことが、各社の位置決めユニットで可能かどうかは不明です。)

 

一方、モーションコントローラーでは、1軸を2軸の主軸(入力軸)と見立て、それとは別に仮想軸を、1軸の差動入力とした構成にします。

位相補正分は、仮想軸への位置決め指令や、JOG指令として与えることで、差動として働くので、結果、2軸へは、1軸と位相が変更された移動量として出力されます。

この方法は、目的位置変更より、ラダープログラム上は、はるかに簡単に作成できます。

 

仮想軸の使用方法などは、各社のモーションコントローラーで、異なりますのですべてのモーションコントローラーが、同じ使用方法が可能な訳ではありませんので、ご注意ください。

 

 

 

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ここに記載した内容は、その動作や性能を、弊社で保証するものではありません。

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